選手個人の演技力をPCSに置き換える愚

浅田選手は実は(といってもフィギュアファンには常識だが)表現力も凄い。PCS(厳密には違うがかなりおおざっぱにいえば芸術点的なもの)の今季最高得点は浅田である。

「技術の浅田、表現力のキムヨナ」というのをもうやめないか

PCSって

  1. スケーティングスキル(スケート技術)
  2. 要素のつなぎ
  3. 演技力
  4. 振付け
  5. 曲の解釈

だから、技術的な要素と振付師への評価を除いて「選手自身の表現力」を評価した項目だけを取り出すなら、実質的には演技力と曲の解釈の2つだけ実質的には演技力だけでしょ。(「曲の解釈」は振付そのものも関係してくるのでスケーターだけの力じゃないということで削除)
あと、PCSはTES(技術点)と全く独立してるわけじゃなくて、TESの出来に左右されるんだよね。TESに引っ張られてPCSが上ったり、逆に下ったりっていうのはよくあることだし、試合を見ていれば、実況解説でそういう説明がされているのに、これまで何回かでくわしてるはず。ジャンプミスがなければPCSも上がる。

浅田はSP(ショートプログラム)でもFS(フリースケーティング)でも減点の非常に大きなミスをしている。ただそのミスは、減点が大きいわりに素人目にも、いや、荒川静香伊藤みどりというプロにでさえもわからなかったようなものであるため一見目立たなかっただけだ(要はDGである。

「技術の浅田、表現力のキムヨナ」というのをもうやめないか

フリーでは転倒していたんだから、素人目にも大きなミスだというのは伝わってるよ。「コンビネーションジャンプが単独になってしまったことが痛かった」、DGが痛いというのはその通りだね。

あと、今回の浅田選手の仮面舞踏会について、芸術的と言われているタラソワマジックはあんなもんじゃないと、真央ちゃんの表現への物足りなさを感じている人は、タラソワと真央ちゃんを応援している人の中にもいるよ。まぁ、このへんは各々の印象になってしまうんで、増田のような人には、あまり説得力がなさそうだけど、点数だけで判断するんじゃなく、もうちょっとフィギュアスケートそのものが好きだという人が、どこを見ているかを考えてみるべきじゃないかと思った。そうしたら、彼らが言う「表現力」というのが何を指しているのかわかってくるんじゃないかね。

グランプリシリーズファイナル@韓国

浅田選手おめっとさん! いやー、NHK杯で優勝してても、「国内ではめちゃくちゃ強い真央ちゃんだが…」の思いを今一つ退けきれないワタクシだったんですが、今回はSPもFPも言葉通り、攻めに徹した演技で、3-3の失敗ごときでは、気持ちはビクともしなかった。あらためて、そして、久しぶりに、この娘は気が強いんだなと思ったわ(笑)。ここんとこ負けどおしのキム・ヨナ選手に負けたくないという気持ちが強かったんだろうと思う。フワフワして気弱そうな表情ってほっとんど見なかったもの、今回は。そして、トリプルアクセルをコンビネーションと単独併せて2つ、プログラムの中に入れて、それを完璧に決めるとはね。これって、未来永劫破られることのない構成になったりして(恐しや)。

全体的には、キム・ヨナと比較するせいもあるんだろうけど、ふっきって体育系の滑りでもいいやと開き直ったかなぁという印象を受けた。ジャンプまでもがメタメタだったTEBのあと、とにかく飛ばなきゃしょうがないということを真央ちゃん自身が確か言ってて、そのあとジャンプ練習に多く時間を割いたのはNHK杯の成功で見てとれた。あれもこれもという迷いをふっきって、的を絞って練習したのが良かったんだと思う。NHK杯からの真央ちゃんは、それまでとは見違えるような演技だったもんね。おかげで、印象としては山田満知子/伊藤みどり直系のアスリート滑りが戻ってきたかなーという気はしたけど、なんにしろ、これが浅田選手の個性なんだな、おそらく。女優のような表現で演技を統べる人もいれば、高度でクリーンなジャンプや柔軟で美しいポジションの一つ一つで観ている人の感情を揺さぶる人もいる。伊藤みどりがそうだったように、浅田選手も後者の人種なのだと思ったよ。まぁ、とにかく歴代女性フィギュアスケーター随一の潜在能力は着実に開花しつつあることを確信した演技だった。これで、3-3まで入れた日にはいったい…。女子の枠に入れといたら、他の選手が可哀想だろう(笑)。

続きを読む